思春期に、わきの下に一種の臭気(しゅうき)を放つようになることを、「ワキガ」といいます。西洋人は、臭うほうが当たり前ですが、日本人は潔癖症のうえに、臭う人が少ないため、悩みの種になってしまうのです。
 毛深いというのと同じに、これは生まれながらのもので病気ではないため、いままで、あまり積極的には治療法が考えられませんでした。
 体温の調節や、皮膚の保湿などに必要な汗は、エクリン腺で作られます。
 この汗が、わきの下や手の平に必要以上に多い場合、局所多汗症といい、精神的に緊張しても汗が沢山出ますが、ワキガの人は、この局所多汗症もあわせもっている場合が多いようです。そして、この汗の量は、ワキガの強さに関係してきます。思春期になるとアポクリン腺という汗を作る組織が発達してきます。ここで作られる汗は、エクリン腺のものと成分が異なっていて、ワキガの臭いは、主にこのアポクリン腺の汗が原因といわれています。
 また、わきの下に毛が生えてくると、毛に付属した脂腺(しせん)という脂(あぶら)を作る組織も発達してきます。この脂(あぶら)もワキガの要素のひとつです。すなわち、アポクリン腺の汗と、エクリン腺の汗と脂(あぶら)に細菌が反応して、あの臭いを作り出します。
 　わきの毛が多いと細菌も増えますので、わきの毛の処理はワキガの治療の第一歩といえます。絶縁針(ぜつえんしん)を使った電気脱毛術は、毛と脂腺をほとんどなくすことができるので、軽いワキガには有効な治療法です。しかし、エクリン腺は減りませんので、制汗剤(せいかんざい)、汗とりパック、安定剤などを併用するとよいでしょう。
 症状の強い場合は、形成外科の手術をお薦めします。特殊なものとしては、稲葉式掻爬術(いなばしきそうはじゅつ)とか超音波や脂肪吸引術がありますが、技術がしっかりしていないと、効果に不十分で傷跡だけ残るということになりかねませんので、信頼できる先生に紹介してもらうとよいでしょう。
 中くらいのワキガの場合は、脱毛術にアポクリン腺電気凝固術をあわせて行うと、よい結果が得られます。
 最後に、食べ物では油もの、甘いもの、カフェインを避けて下さい。

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